
今晩、ついに金曜ロードショーで宮崎駿監督の最新作にして話題作『君たちはどう生きるか』が地上波初放送を迎えます。
公開時から多くの謎に包まれていた本作には、観る者の心を深く揺さぶる数々の要素が散りばめられています。
中でも、物語の重要な鍵を握るのが、異世界に登場する13個の奇妙な石の積み木です。
一体これらの石は何を意味するのでしょうか?宮崎監督が込めたであろう深遠なメッセージを、あらすじと共に考察します。
この記事を読めば、今夜の放送をより深く理解し、作品の持つ多層的な魅力に引き込まれること間違いなしです。

この記事を読んでわかること
- 『君たちはどう生きるか』に登場する13個の石の意味
- 『君たちはどう生きるか』のあらすじ
『君たちはどう生きるか』のあらすじ
『君たちはどう生きるか』には原作小説がありますが、宮崎駿監督の今作映画とは登場人物の名前も異なります。
ここでは、映画版『君たちはどう生きるか』のあらすじを詳しく解説します。
アオサギとの出会い

第二次世界大戦下の日本。主人公である少年・眞人は、東京大空襲で母親を失い、父と共に母の故郷へと疎開します。新しい生活に馴染めない眞人は、広大な屋敷の中で孤独な日々を送っていました。そんな彼の前に、言葉を話す奇妙なアオサギが現れます。
異世界へ

アオサギに導かれるように、眞人は屋敷の中に存在する謎めいた塔へと足を踏み入れます。その塔の奥には、異世界への入り口が開かれていました。そこで眞人は、生前の母親に瓜二つな不思議な少女・ヒミと出会います。
ヒミとの出会いをきっかけに、眞人は現実世界と異世界を行き来しながら、様々な出来事と出会いを経験していきます。火を操る力を持つヒミと共に、眞人は異世界で繰り広げられる壮大な冒険に巻き込まれていくことになります。
旅を通した通過儀礼を経て成長する眞人

眞人は自身の出自や、世界を揺るがす秘密、そして生と死の意味について深く考えさせられることになります。彼は、数々の困難を乗り越え、未来へと歩み出すための答えを見つけ出そうとします。
これは、喪失と再生、そして少年が成長していく姿を描いた、宮崎駿監督ならではの深く心に響く物語です。
『君たちはどう生きるか』が宮崎駿監督の最後の作品?

広告を一切打たないながらも話題となった『君たちはどう生きるか』。
公開前から、宮崎駿監督の最後の作品と噂されており、映画を観た後は確信に変わりました。
ここでは、『君たちはどう生きるか』が宮崎駿監督の最後の作品である可能性であると考えられる理由をいくつか列挙します。
根拠(1):食事シーンがおいしくなさそうだった

宮崎駿監督作品といえば、ごはんがとってもおいしそうなことで有名ですね!
ラピュタパン、ハウルのベーコンエッグなど、食事シーンが名シーンとして印象に残っている方も多いはず。
しかし、『君たちはどう生きるか』は違いました。
食事シーンがとても現実的なんです。まるで夢から醒めて大人になったかのよう。
これは、今作が子どもたちのためではなく、最後の作品として宮崎駿監督監督自身のために描かれたからではないでしょうか。
根拠(2):豊富なセルフオマージュ

宮崎駿監督作品には、監督らしさが見られることはありましたが、今作のように明らかなオマージュはありませんでした。
しかし、今作では随所に過去作のオマージュだとわかるポイントが散りばめられています。
例えば、火の描写は「ハウルの動く城」を彷彿とさせます。
宮崎駿監督ファンの方は、ぜひ探してみてくださいね。
根拠(3):宮崎駿監督を投影したかのような眞人

宮崎駿監督はお母様を亡くしたことなど、幼少期の経験が重なります。
また、後述しますが、石の積み木を積んで世界を構築する作業も、映画制作を行う監督を彷彿とさせます。
実際のところ、監督自身の投影だけではないようですが、自伝を見ているかのような気分で私は鑑賞していました。
結論:宮崎駿監督の最後の作品である可能性が高い

根拠をあげた3点から、『君たちはどう生きるか』は宮崎駿監督の最後の作品ではないかと考えました。
しかし、後述する石の積み木を一つ持ち帰ったことから、監督自身は作品を作り続ける意思があり、これが終わりではないと示唆しているようにも感じます。
今後、新作が発表されるとしても、毎回「これが最後かも」という気持ちで見ようと思います。
13個の石の積み木の解釈:宮崎駿監督の作品数を表すのではないか

『君たちはどう生きるか』が宮崎駿監督の最後の作品である可能性が高いと述べましたが、これは13個の積み木の解釈に繋がります。
ここでは、13個の積み木が、宮崎駿監督の作品数を表すのではないかと考えられる理由について詳しく解説します。
悪意に染まっていない石を探す行為
大叔父が世界を構築するために選んだ積み木は、悪意に染まっていない石。
これは、子どもたちに悪影響を与えるようなものを排除した、まさに宮崎駿監督作品全般に通じる生命の輝きを感じるようなわくわくするネタや作品のことをさしているのではないでしょうか。
宮崎駿監督は、すべての作品を子どもたちのために捧げて来たんですよね。
心身を削りながら描かれた傑作を子どもの頃から見ることができて幸せでした。
石の積み木は宮崎駿監督作品のメタファー(暗喩)

石はそれぞれ、形が異なります。
ひとつひとつ根気強く石を積み上げる作業は、まさに宮崎監督が人生をかけて取り組んでいたアニメ映画制作に対する姿勢そのもの。
それぞれの石が、各作品を表しているのではないでしょうか?
13個の石は積み上げようとすれば不安定で、成功する確固たる保証はどこにもないようなもの。
劇場で見たときは胸がいっぱいになってしまいました。
宮崎駿監督の13作品は何?

ひとつひとつが宮崎駿監督の作品を表すならば、13作品は何をさすのでしょうか?
長編は以下のように12作品あります。
- ルパン三世 カリオストロの城 (1979年)
- 風の谷のナウシカ (1984年)
- 天空の城ラピュタ (1986年)
- となりのトトロ (1988年)
- 魔女の宅急便 (1989年)
- 紅の豚 (1992年)
- もののけ姫 (1997年)
- 千と千尋の神隠し (2001年)
- ハウルの動く城 (2004年)
- 崖の上のポニョ (2008年)
- 風立ちぬ (2013年)
- 君たちはどう生きるか (2023年)
これに加えて、以下のテレビ作品が長編として数えられるのではないでしょうか。
- 未来少年コナン (1978年)
合わせて13作品となります。
まとめ:宮崎駿監督の13作品の集大成を石の積み木で表した

『君たちはどう生きるか』の13個の石の積み木の意味を、今作が宮崎駿監督の最後の作品である可能性を視野に入れて考察しました。
13個の積み木の解釈は他にもあると思います。
宮崎駿監督は今までも引退を示唆したことが度々ありましたが、その度に不死鳥のように舞い戻って来ました。
しかし、今作はこの記事で表したように今までの作品と毛色が違います。
本当にこれで最後なんだろうなと、映画館で涙ぐんで見たのを覚えています。
宮崎駿監督作品は、未就学児の娘も大好きです。こうやって世代を超えて長く受け継がれていくのだと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!