
毎年秋になると、行楽シーズンに合わせて訪れる修学旅行生や観光客で奈良公園は大混雑。
中でも、正倉院展という展覧会の時期は、渋滞が起こるなどさらに混み合います。
正倉院展とはそれほど人気があり、全国からツアーを組んだ観光客が訪れて、開催される奈良国立博物館前は大行列となります。
今回は、正倉院展について初めて知る方への解説と、穴場の時間や見どころなど実際に訪れた筆者が詳しく紹介します!

この記事を読んでわかること
- 正倉院展に子連れで行く場合の注意点
- 正倉院展に行って後悔したことを含めた体験談
正倉院展は子連れで行くことは可能?

正倉院展は国宝級の展示物がずらりと並ぶ、日本有数の展覧会です。訪れたいものの、旅行などで子連れの場合、一緒に行けるか気になるところです。
ここでは、正倉院展は子連れで行くことは可能なのか詳しく解説します。
正倉院展に年齢制限はない
正倉院展に年齢制限はないので、赤ちゃんも連れて行くことが可能です。
ただ、展示物前は人が密集しているので、子どもの安全を考えたら混雑を避けた時間の方が良いでしょう。
未就学児でも、年長児あたりから美術品等に興味がある子が出てくるようですので、子どもの興味のきっかけに連れて行くのも素敵だと思います。
混雑するので迷子に注意
正倉院展には、海外や全国からの観光客が押し寄せます。
特に目玉の展示物前は何層にもなって見る順番を待つので、小さな子どもならすぐに見失ってしまうでしょう。
また、集中して展示物を観察する子どもをよく見かけました。大人が気付かないうちに立ち止まり、はぐれてしまうかもしれません。
迷子になった際の集合場所を決めておきましょう。
展覧会の内容を事前に子どもと調べておく
展覧会や博物館に実際に訪れる前に、展示物等を一緒に図鑑などで見ておくと、興味の抱き方や記憶への残り方がかなり異なります。
可能であれば、正倉院展訪問の前に特集が組まれたテレビ番組を見たり、図録などを取り寄せて事前に知識を入れてみましょう。
正倉院展目録は奈良国立博物館ミュージアムショップのオンラインショップから取り寄せることができます。過去開催年の図録も在庫が残っている年がありますよ。
正倉院展について詳しく解説

歴史の教科書に名前も出てくる正倉院は、実は毎年一般公開されている時期があります。
ここでは、正倉院展について全体像を詳しく解説します。
正倉院展とは?
正倉院展とは、奈良県の東大寺にある正倉院という宝物庫に収められた貴重な宝物の数々を一般公開する年に一度の行事です。
場所は例年、奈良国立博物館で開催されます。
正倉院は奈良時代に建立されており、宝物は聖武天皇や妻の光明皇后に由来のあるもの、東大寺の儀式に使われたものなどさまざまです。
正倉院は「シルクロードの終着点」とも呼ばれており、中国をはじめ、インドなど異国から伝わったうっとりするような美しい美術工芸品が数多く収蔵されています。
宝物庫の全体数はおよそ9,000点であり、その中から例年60点前後が公開されます。

有名な琵琶などの楽器や、色褪せない美しい宝物などさまざまな品が展示されますよ!
一期一会の宝物たち
展示される宝物は、最新の研究実績や当時の外交がうかがえるものなど、宝物の全体像がわかるように バランスよく選定されます。
毎年異なる宝物が展示されるため、毎回訪れるファンの方もたくさんいらっしゃいます。
逆にいえば、一度展示されたものは、次に展示されるのがいつになるかわかりません。
私は今回、どうしても見たい展示があって訪れました。生きている間に二度と見れないこともあるかもしれないと思ったからです。
みなさまも、気になる宝物がありましたら訪れてみてくださいね。
開催時期とチケット
全国から観光ツアーで訪れる方も多い正倉院展。例年、10月下旬から11月初旬にかけて開催されます。
私は今年、終了の3日前の土曜日に訪れました。終了間際の週末ということもあったからか、入場直後はかなりの人だかりができていました。
また、チケットは平日でも売り切れてしますことがあるので、早めに取得しておきましょう。
私は公式サイトから申し込み、ローソンのLoopiでチケットを受け取ってから訪れました。

Loppiに入力して出てきたレシートを店員さんに持って行って、お金を払います。
近鉄奈良駅周辺のコンビニは混んでいるから、地元で手続きしてから行きましょう!
正倉院展:穴場の時間

正倉院展といえば、大混雑で有名です。一番混雑する時間は、人の頭を鑑賞しにいくようなものと言われるほど。
時間に都合がつくならば、混雑は避けたいですね。
ここでは、正倉院展の穴場の時間を詳しく解説します。例年、混雑する時間は似ているので来年以降に訪れる方もぜひご覧くださいね。
穴場の時間は閉館1〜2時間前
月〜木曜日の午後4時以降と金・土・日・祝日の午後5時以降はレイト割が適用されます。
私は土曜日の夜に訪れましたが、レイト割が適用される5時頃には長蛇の列ができていました。中に入っても昼に比べれば混雑は少ないのでしょうが、大人気展示は人だかりができています。
流れに沿って最後まで見た後、最初のブースまで戻ってみました。すると、人もまばらで目玉展示もじっくり鑑賞することができたのです!
だいたい、空いてくるのは閉館1時間半前あたりだったと思います。
土曜日でこの状態だったので、平日はもっと人がまばらだったのではないでしょうか。
例年、夜は混雑が少ないようなので、2025年に訪れる予定の方は参考にしてみてくださいね。

穴場の時間は夜!
レイト割で安くなるし、比較的空いています。
レイト割は小中学生が無料
レイト割は高校生以上は割引を受けられ、小中学生はなんと無料で入場できました!
そのためか、私が訪れた午後5時以降はレイト割がなかった時代に比べると小中学生がとても多かったようです。
子どもが多いことでゆっくり見られないのでは?と心配される方もいらっしゃったようですが、熱心にメモを取ったり、お行儀が良い子ばかり目にしました。
こうやって歴史に興味を持つ子どもの裾野が広がってくといいですね。
正倉院展:効率良く回る方法

正倉院展になんとなく訪れると、観光時間の制約が自分の中であったり、大混雑によりすべてを鑑賞するのが難しいことがあります。
ここでは、時間を有効に使うために効率良く回る方法を詳しく解説します。
見どころと会場案内図を確認
60数点展示される宝物ですが、中でも正倉院展の主催側が見どころとする展示が毎年あります。
見どころは公式ホームページで例年公表され、詳細を知ることができますよ。
また、公式ホームページには「会場案内図」が掲載されており、見どころとその展示場所が記載されています。
事前に場所を把握しておけば、時間がなくても見たい展示だけ効率良く回れますね。

会場案内図だけは事前に確認しておくことをおすすめします!
昼に市内観光をして夜に正倉院展へ行く
体力のある方ならば、昼間に東大寺や春日大社等の観光名所を巡り、夜に正倉院展を訪れるのが奈良を目一杯楽しむ一番良い方法だと思われます。
さらに元気が残っている方は、正倉院展の後に飲食店に寄って余韻に浸りましょう。近鉄奈良駅やJR奈良駅付近であれば、夜遅くまで開いている店があります。
正倉院展体験談:2024年開催第76回正倉院展
私は当日の昼間に夜のチケットを取って向かいました。
約14年ぶりの鑑賞です。
私が正倉院展を訪れて印象に残った宝物や後悔したことなどをここでは詳しく解説します。
行った目的:瑠璃魚形(るりのうおがた)を見るため
SNSでたまたま4色の瑠璃魚形の写真が流れてきて、かわいくてきれい!と感動いたしまして。
どうしても肉眼で鑑賞したくて訪れました。
実際に見た瑠璃魚形は赤ちゃんの手のひらに乗るほど小さくて、光に透けてとても美しかったです。空いた時間に凝視して目に焼き付けました。

瑠璃魚形は精巧なレプリカも展示されていて、より近くで凝視することができましたよ!
行って良かったこと:展示物から香りがした

瑠璃魚形以外にも、目を惹く宝物たちが数多く展示されていました。
パンフレットにも使用された黄金瑠璃鈿背十二稜鏡(おうごんるりでんはいのじゅうにりょうきょう)や緑地彩絵箱(みどりじさいえのはこ)など、2024年の見どころとされる宝物は細部まで美しかったです。
中でも、今回驚いたのが沈香木画箱(じんこうもくがのはこ)です。展示はガラスで囲われていたのですが、良い香りがあたりに漂っていました!
緻密に象牙や木材を細工した幾何学模様もさることながら、なんて雅なんでしょう。約1,300年前の香りって残るものなんだと感動しました。
実際に訪れて鑑賞して良かったなと思えた宝物です。

沈香木画箱の時を超えて漂う香りや、宝物の質感は実際行かないとわからない良さでした!
後悔したこと(1):観賞用ルーぺを持っていけばよかった

今回、単眼鏡をもっていらっしゃる方をよく見かけました。家に帰って調べると、美術鑑賞用ルーペと呼ばれるらしいです。
作品まで遠いわけではないですが、精緻な技法を用いた作品が多かったため、単眼鏡を持っていればもっと細部まで鑑賞できたのになと後悔しました。
次回は持参しようと思います。
後悔したこと(2):出陳宝物のガチャガチャが売り切れていた

実は今回、目玉の出陳宝物のガチャガチャを回したいなと思っていたのですが、残念ながら売り切れていました。
私が残り少ない開催時期に訪れたせいもあると思います。開催時期の前半は補充されていたこともあるようです。
アクリルキーホルダーで、瑠璃魚形や黄金瑠璃鈿背十二稜鏡など8種類ありました。
正倉院展の定番グッズなので、来年また挑戦したいと思います。
館外特設ショップにガチャガチャは設置されていました。

ミュージアムショップには、他にもおしゃれでかわいい宝物グッズが目白押し!
売り切れる場合があるので要注意!
所要時間
私は夜に訪れて、二周回りました。
一周めの時は多少混雑していて展示物の周りには人が密集していましたが、二周めはガラガラでした。
鑑賞時間はじっくり見ても1時間半〜2時間ほどあれば十分でした。
さっと目玉展示だけ見れば良いという方は、もっと短時間で済むでしょう。
大混雑する昼間に訪れるならば、もっと時間がかかると思われます。
正倉院展関連イベント:正倉院「THE SHOW」
2025年に開催される正倉院「THE SHOW」は、3Dデジタルデータで正倉院の宝物たちをあらゆる角度から見られる没入型イベントです。
正倉院を管理している宮内庁正倉院事務所が全面監修しているので、クオリティが高そうです。
実際に品物が展示されることはなさそうですが、SNS映えしそうな華やかなイベントです。会場内は撮影やSNS投稿が許可されています。
続報は2025年4月に発表される予定なので、今から楽しみですね!
開催地と期間 | 【大阪歴史博物館】2025年6月予定 【上の森美術館】2025年9月予定 |
公式サイト | https://shosoin-the-show.jp/ |
まとめ

正倉院展についての詳細と、第76回正倉院展レポートなどを紹介しました。
奈良時代に思いをはせて鑑賞するのは非日常的で、美しい宝物の数々は見るだけで癒されます。特に開催年の見どころとされる宝物が素晴らしかったです。
歴史的背景を知れば、より深く作品を楽しむこともできますね。現地やネットで販売されている正倉院展目録を買えば、事前に作品を調べたり余韻にひたることもできますよ。
2025年開催の第77回正倉院展も楽しみにしています!
- 奈良国立博物館公式ホームページ(正倉院展の公式の告知はこちらでされます):https://www.narahaku.go.jp/